ミャンマーの自動車市場では、以前は日本から輸入した中古車が大半を占めていましたが、この数年間で新車の販売が大幅に拡大しています。
近年ミャンマーは急速に経済成長を遂げており、それに伴い、新車の需要が着実に増加しています。かつては自動車の購入が経済的に難しかった層でも、金融機関が自動車ローンを提供するようになったことや(*1)、所得が増加したことなどにより、購入がしやすくなっています。
また、2018年に中古右ハンドル車の輸入が禁止されるなど(*2)、輸入車の規制と、国内生産の新車を優遇する政策が進んでいることも、新車の販売が拡大する要因となっています。
現在ミャンマーの新車市場で販売されている自動車のブランドには、スズキ、トヨタ、日産、BMW、フォード、スカニアなどがあります。
ミャンマーでの、年間の新車販売数は、2016年は4,168台、2017年は8,225台、2018年は17,524台と年々大きく増加しています(*3)。
2019年1月~4月の4か月間には計5,574台の新車が販売されましたが、これを前年の同期間と比較すると、ASEANの自動車市場全体では8.7%減少している一方で、ミャンマーでは50%増加しています。(*3)
2018年の内訳を見ると、乗用車が約1万4,400台(前年比2.4倍)、商用車が約3,100台(前年比4割増)で、メーカー別では乗用車・商用車とも首位がスズキ、2位がトヨタとなっています(*4)。
国内の生産台数を見ると、2018年は約1万2,300台(前年比2.5倍)で、乗用車・商用車とも首位はスズキ、乗用車の2位は日産、商用車の2位はフォードとなっています(*4)。フォードの生産台数が前年と比べて14%減少した一方で、日系の3社は生産台数を増やしています(*4)。
中古車ではトヨタの人気が根強いものの、新車市場では生産・販売台数どちらも、2013年にいち早く現地工場を設立したスズキが他社に差をつけています。他にフォード、起亜自動車、ヒュンダイなどが現地工場を有しており、現在ではトヨタも、ヤンゴン南部のティラワ経済特区に現地工場の建設を進めています。
ミャンマー工業省は2019年5月、自動車の国産化・外国企業による技術移転を推進する自動車政策を発表しており(*5)、今後ますます外国企業の進出や国内での自動車生産、各メーカーの現地生産への転換が進んでいくと予想されます。
また、自動車の国内生産が拡大することで、関連産業の発展も期待されますし、自動車周辺ビジネスにも大きな可能性があると言えるでしょう。
References
*1 JETRO「ミャンマー新車市場の拡大を支える自動車ローン」https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/12/92679ca8b523f8ab.html
*2 JETRO「新車販売が好調に推移、メーカーに現地生産拡大の動き」https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/11/c78a63c3d6b9358d.html
*3 Eleven Myanmar “5,574 brand new cars sold in Myanmar during four months in 2019”
https://elevenmyanmar.com/news/5574-brand-new-cars-sold-in-myanmar-during-four-months-in-2019
*4 JETRO「2018年の新車販売、生産台数とも前年比倍増」https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/02/9522ebb2ccc30801.html
*5 JETRO「工業省が自動車政策を公表、国産化など推進」https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/05/f7dc216a4fa88a15.html