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階層社会におけるターゲットの重要性

タイでは大卒の初任給は、バンコクで平均約15,000バーツ(約50,000円)程度。

一方で、同居家族の所得合計である世帯月収が15,000バーツに満たない世帯は、全体の約3割に

のぼると思われる。逆に、富裕層に目を向ければ、フォーブスの長者番付で顔なじみの面々は、

日本人の富裕層の比ではない。

 

そんな階層社会では、階層それぞれのコミュニティーがあり、それぞれがまったく違うコミュニティーで

生活しているので、ライフスタイルも異なるし、生活の価値観、食べ物の嗜好などもまったく異なる。

 

よく「この商品はタイで売れますかね?」などという質問をいただくが、一括りに「タイ人」を語ることは、

なかなか難しい。もちろん、タイ人気質などという根本的な国民性はあるが、我々は、マーケティングを

通じて、商品やサービスをいかにタイ人に使ってもらうか、との視点で日々活動している訳なので、

「タイで売れますかね?」という質問には、「ターゲットはどこをお考えですか?」と尋ねることにしている。

世帯月収が、15,000バーツの人と、50,000バーツの人と、100,000バーツの人では、生活の価値観や

嗜好性などまったく異なるからである。

 

商品やサービスの提供価格を、物理的に許容できるか否かよりも、そもそもその商品やサービスに、

魅力を感じるのか感じられないのかが、ポイントとなる。

なぜ魅力を感じるのか、あるいはなぜ魅力を感じられないのか、それぞれの階層での暮らしぶりなどの

背景をきちんと理解をしないことには、その理由が把握できないし、どのように改善すれば魅力と感じて

もらえるかとのアイディアも、出すことができない。

我々が常日頃から、現地での現地の人たちの暮らしぶりを、まずは見てください、とお勧めしているのは

そのような理由からである。